理学療法士、作業療法士の需要と供給のバランス

理学療法士や作業療法士の需要と供給のバランスはどうなっているでしょうか。

 

理学療法士や作業療法士の新卒者は今後も就職できるのか、気になりますよね。

 

私は正確な統計の数字を把握しているわけではないので、あくまで主観になってしまいますが、需要と供給のそれぞれで考えてみましょう。

 

 

理学療法士・作業療法士の供給について

 

平成24年の段階で、
理学療法士の養成校は242校、定員は昼夜合わせて13265名です。
作業療法士の養成校は175校、定員は昼夜合わせて6995名です。

 

落第したり中途退学したりする方もいるので、この人数がすべて卒業するわけではありませんが、だいたいこれくらいの人数が毎年PT、OTとして社会に供給されていきます。

 

 

理学療法士・作業療法士の需要について

 

理学療法士や作業療法士が就職する場所には、以下のようなところがあります。

 

・病院(急性期、回復期、維持期、ケアミックス、小児、精神など)
・診療所・クリニック
・介護保険施設(介護老人保健施設=老健、介護老人福祉施設または特別養護老人ホーム=特養、介護療養型医療施設)
・その他施設(身体障害者更生援護施設、児童福祉施設など)
・在宅サービス分野(訪問リハビリテーション、デイサービスなど)
・教育機関
・行政機関
・スポーツ分野 など

 

この中でも最も多くのPT・OTが働いているのが、病院です。

 

かなり古い理学療法士のデータになりますが、平成17年では72%くらいの方が病院勤務で、次に多いのは介護保険施設や診療所でした。

 

病院と介護保険施設と診療所を合わせると、90%以上になります。
この3つにほとんどの理学療法士が勤務していることになります。

 

作業療法士も若干違いはありますが、病院が一番多いことには間違いないでしょう。

 

この3つの分野に集中しているということは、まだ他の分野に人が流れる余地があるという見方もできますが、この3つの分野が特に需要があるから集中しているという見方もできます。

 

 

医療介護分野における「需要」の特殊性について

 

小売り業界にとって需要があるということは、それを必要としている人が多いということ、また、それに対して供給を増やせばお金になるということを示しています。

 

対して、医療介護業界においては、「現場としてそれを必要としている人が多い=需要が多い、供給がお金につながる」とはなりません。

 

というのは、小売りは、商品を買うのは消費者でお金を出すのもすべて消費者ですが、医療や介護は簡単に言えば財源が税金であり、その財源はとっくに枯渇しているため、需要が多いからといって、供給を増やせば増やすほど、国の財政的には赤字になってしまうからです。

 

超高齢化社会の到来により、国民の医療や介護に対する需要は確かに増加しています(社会保障費は増加し続けています)。

 

しかし、国は供給を減らしたいと思っているのです。

 

 

理学療法士や作業療法士の需給バランスについて

 

一言で言うと、バランスは崩れ始めています。
つまり、供給過多の状態になりつつあります。

 

理由その1 働き場所が限られている

さきほど、3つの分野に就業が偏っているというデータがありましたが、これは、この3つの分野(特に医療分野)がお金になるからです。
それ以外の分野はお金になりません(訪問リハを除く)。

 

経営者からすれば、「需要とはお金になること」です。
いくら患者さんからの需要があってもそれが儲かるものでなければ雇いません。

 

つまり、経営者側からみてPTやOTの需要がないということになります。

 

医療分野ではPTやOTを雇っても比較的お金を生み出しますが、これが介護保険施設(の一部)になるとぐっと下がり、さらに他の分野になるとお金を生み出しません(大きく考えると)。

 

また、PT・OT側からしても、収入がアップしないところには移動していきませんから、今後も3つの分野に偏る傾向は続くものと思います。

 

理由その2 病院は減少している

一番の就職先である病院ですが、徐々に減ってきています。
平成7年には全国で9606あった病院が、平成18年には8943にまで減少しています。

 

1病院あたりの理学療法士や作業療法士の数はかなり増えているのですが、それにしても限りがありますので、病院数が増えない限りいつかは飽和状態になります。

 

病院が減っている理由は政策にありますが、今後も増加に転ずることはないでしょう。

 

介護老人保健施設は毎年100くらいずつ増えていますが、1施設にPTOTそれぞれ多くて3名ずつとしても、毎年600名の需要にしかなりません。

 

理由その3 引退する人が少ない

理学療法士や作業療法士は、昭和40年に法整備された職業であり、医師や看護師などと比べると非常に歴史が浅いです。

 

つまり、ほとんどの人は現役であり、定年退職する世代の人はほんのわずかです。

 

また、初期の頃は養成校数も少なく、毎年輩出されたPT・OTの数もわずかであったため、たとえその人たちが定年を迎えて辞めたとしても、やはりとても少ない数なのです。

 

つまり、退職していく人と入職する人の数がぜんぜん違うということになります。

 

 

理学療法士と作業療法士の需要の比較

 

PTとOTの需要は、ほぼ同じだと思います。

 

というのは、PTとOTは言語聴覚士(ST)とは異なり、職域も同じですし、診療報酬や介護報酬上もほとんど同じ扱いです。

 

もちろん専門性の違いはありますが、診療・介護報酬や、職域に違いが出ない限り需要は同等のままだと思います。